魔法、魔術について合理的に考えてみるブログ

「魔法使いになりたい」、という欲望について真剣に考えてみました。

「生殖資本」の搾取構造と「富」の再分配について

 みなさん、こんばんは。

 

 今日は「生殖」について。

 

 つまり、「子供を産む権利」についてのお話です。

 

 子供は男性と呼ばれる人と女性と呼ばれる人がセックスをすることで、受精という現象を起こし、生じます。

 

 また、深刻な他害がない限りは、人間には自由がおおむね認められるので、生殖の自由、セックスの自由もそれなりに存在します。

 

 例えば、セックスするのにいちいち国の許可が必要だと、なかなか窮屈な世の中になるかもしれません。

 

 あるいは、「あなたは子供をつくる権利がある」「あなたには子供をつくる権利がない」とかいうふうに人を差別すると、これは、「優生思想」になってしまいますね。ナチスを彷彿とさせます。

 

 したがって、生殖なりセックスの自由、あるいは「生殖を行う権利」は極力は、できる限りは、すべての人に保証するのが良い、というふうに考えられます。

 

 このセックスおよび生殖の権利をとりあえずここでは、「生殖権」と呼びましょう。

 

 人間には生殖権があると考えられます。

 

 では、どうすれば、全ての人に生殖権が上手く分配されると考えられるか。

 

 まず、権力によって、直接的に人々にセックスすることを強制するのは、これは、自由を侵害することになり、うまくないでしょう。

 

 人には、生殖権もありますが、セックスや生殖を拒む権利もあるはずです。

 

 したがって、生殖権の分配において、国にできることは、直接的支援ではなく、間接的支援となります。

 

 ここで、人が生殖するために有利となる資質なり資産を、すべて合わせて、「生殖資本」と呼びましょう。

 

 この生殖資本を多く有する個体は、生殖に有利であろう、というふうに今回は考えてみます。

 

 では、生殖資本にはどのようなものがあるでしょうか? 非常に多様な資質が考えられますが、概ね、次の三つにのっとって今日は考えてみようかと思います。

 

1.容姿資本(美人、イケメンなど)

2.地位資本(社長、官僚、有名大学卒、名誉など)

3.金銭資本(貨幣、株式、預金、換金可能性のある才能など)

 

 つまり、これらの生殖資本、「富」を上手く再分配することができれば、人々にセックスを強制することなく、生殖権をある程度保証できる、とも単純には考えられます。

 

 今回はこの仮説にのっとって話を進めてみましょう。

 

 まず、容姿資本の再分配には何が必要と考えられるか。

 

 容姿を構成するのは主に、つぎの三つであるとも考えられます。

 

 1.栄養習慣

 2.運動習慣

 3.遺伝

 

 これらの内、遺伝の再分配は、倫理的に危険です。適切な遺伝子を選ぶ、という発想になれば、優生思想となる可能性があります。

 

 したがって、ここでは、遺伝の再分配は置いておき、栄養習慣と運動習慣に的を絞りましょう。

 

 栄養は、偏りのない食生活により、ある程度はバランスよく摂取されると考えられます。とりあえず、細かい栄養学のお話などはここではおいておきますが、つまり、「しっかりと栄養バランスのとれた食生活を取る権利」が、人にはあると考えられます(もちろん、そうした食生活を選ばない権利もあります。つまり、あえて偏った食生活を選ぶ権利もあります)。

 

 運動は、適切に行われることで、スタイルを引き締めることに役立ちます。したがって、適切な運動についての知識やまたそれを実施できるだけのさまざまな資本を得る権利が人にはあると考えられます。つまり、「運動習慣をつける権利」も人にはあると考えられます。これには習慣をつける補助なり、あるいは運動するために必要な道具や環境の提供が考えられます。スポーツクラブへの斡旋とか。もちろん、人には運動をしない権利もあります。したがって、自分に必要のないものだと思う人は、これらの権利を選ばない権利もあります。

 

 つまり、次の対策によって、容姿資本を再分配することができると推定できます。

 

1.適切な運動と栄養についての情報の提供

2.適切な運動習慣と栄養習慣を身につける機会の提供

 

 さて、次は、地位資本の再分配について考えてみます。

 

 これについては、大きく名誉の問題であると思います。つまり、名誉資本。社長も地位資本として考える場合には、名誉の問題だし、有名大学卒が威光を持っていると発想するのならば、それも名誉の問題であると考えられるからです。つまり、「名誉資本」です。

 

 では、すこし名誉の機能について考察してみましょう。

 

 名誉には格差がもちろんありますね。みなさんも好きな人と嫌いな人がいるのではないでしょうか。その場合、あなたにとっては、好きな人が地位が高く、嫌いな人が地位が低い、ということになるのではないかと僕は推定します(当ブログの「地位術」など参照)。したがって、名誉の格差を完璧になくすことは現実的ではない。ならば、名誉の格差をなくすのではなく、名誉の最低ラインを確保することが必要となるでしょう。今回で言えば、生殖に差支えない程度の名誉が最低限担保されていさえいればよい、ということです。

 

 つまり、ある生殖を望む人がいた場合、正当な理由がなく、その人の名誉を著しく傷つけた場合には、それは罪となると考えられます(生殖権を侵害すると考えられるので)。できる限り、人の名誉は傷つけない方が良い。

 

 では、こうした致命的な名誉の侵害にはどのようなものが考えられるか。

 

 まず、根拠のない著しくネガティブなレッテルは、名誉を侵害する恐れがあるであろうと考えられます。もちろん、名誉の侵害に注意し過ぎて、表現の自由を抑圧するのは危険です。人にはある時には、愚痴をこぼす権利くらいあるでしょう。正当なものであれば、批判する権利もあります。

 

 しかし、もしも、「国」によって、根拠のない著しくネガティブなレッテルが公的に付与された場合、これはどうでしょう?

 

 このレッテルは一個人の発言とは比べ物にならない責任と効力を持ちます。

 

 例えば、「ユダヤ人は劣っている」というレッテルを国が人々に貼ったとすれば? これはユダヤ人の生殖権および生存権が著しく侵害されることになるでしょう。

 

 したがって、国および公的な機関は、この「正当性のない著しくネガティブなレッテル」をできる限り、払拭することで、人々の名誉資本を担保できるであろうと推定できます。

 

 例えば、自閉症スペクトラムの問題であれば、「自閉症スペクトラムの人は劣っていない」という情報を広めること(ただし嘘ではなく正確な情報で)、また、「自閉症スペクトラムの人には長所がある」という情報を広めること(ただし嘘ではなく正確な情報で)というこれらの手法によって、生殖資本の再分配を行うことができると考えられるでしょう。

 

 つまり、次のことによって、名誉資本の再分配を行うことができます。

 

1.病や障害およびスティグマの対象についての偏見のない正確な情報を広める。

2.病や障害およびスティグマの対象を、正確な洞察にもとづき、正当化する。

 

 さて、最後は、金銭資本の再分配です。

 

 これは他の二つに比べると分配がとても容易です。原理的には。

 

 これについては、次のことを行えばよいことになります。

 

1.生殖に十分な金銭を得る方法を提供する。

2.それが正当な理由あってできない場合、生殖に十分な金銭を提供する。

 

 これらのことによって、金銭資本を分配することができると考えられます。

 

 以上の、容姿資本、地位資本、金銭資本の再分配により、生殖資本の再分配を促し、生殖資本の搾取を抑制する効果があると推定することもできます。

 

 最後に、現在、どのような生殖資本の搾取構造があるかについて簡単に見てみようかと思います。

 

 まず、容姿に差異がある。これは当り前ですが。どの容姿も個性があっていいものですが、ある程度は、自分の好きなようにスタイルを引き締めたり、肌のうるおいなどを調整するなどの権利もあるものと思います。大雑把には栄養のある食事を取ることと、運動をすること、あるいはその習慣づけ(広義にはファッションなども含まれるでしょう。ファッション資本。つまり実際の事情はこれほど単純ではないのですが(笑)一つの思考のモデルケースとしてご参照ください)。

 しかし、その習慣を得るチャンスがない人もいるかもしれませんし、栄養についての知識が十分に得る機会に恵まれていない人もいるかもしれません。なおかつ、その人が生殖を望むのであれば、それに向けて、容姿を良くしようと努力する権利はあると考えられます。したがって、そうした人に向けて、その人が望むのなら、栄養や運動習慣を身につける機会を提供できるといい、かもしれません。

 地位に格差があるのは、これはある程度しょうがないことですが、必要最低限の地位が確保されなければこれは、奴隷などと変わらないものとなってしまうかもしれません。みなさんも、自分が不当に差別された時のことを想像してみて下さい。例えば、「日本人は劣っている」とレッテルを貼られて、強制収容所に入れられて、ガス室で殺されたりしたらどう思うでしょうか? 想像するのさえ恐ろしいですね。ですので、そういうことはしてはいけません。したがって、精神病や自閉症スペクトラムなどそうした疾患の欠点ばかりではなく「利点」を積極的に発見し、病や障害およびスティグマの対象となった人たちの名誉を回復するのが正着打のひとつとなると推定できます。仮に、あなたが鬱病になったらと想像してみて下さい。それで結婚したい人ができて、告白します。そして、その告白相手に「あなたは鬱病だから結婚できない」と言われたら、結構ショックではありませんか? しかし、現実的に、相手にも結婚を拒否する権利は与えられなければなりません。したがって、判断するのはその告白相手ですが、その判断が偏見にならないように、前もって正しい情報が流布されている必要があります。

 金銭に格差があるのもこれはある程度、今のところはしょうがないことかと思います。したがって、生殖に必要な最低限の金銭あるいは金銭を得る方法が付与されることが望ましい。これは職業訓練の充実や、職業に就くこと自体が困難な場合には、生殖に十分なだけの金銭が付与されなければならないであろうとも考え得ます。

 お金がなくて、生殖できない人もいるでしょう。基本としては、そうした人々にも、生殖の権利自体はあると考えられますので、極力は、こうした差別構造を撤廃し、生殖資本を再分配するのが望ましいとも推定できます。

 

 人間には、生存権というものもあり、これは、「人間が人間らしく生きる権利」です。性活動は、人間の活動の根源ともいえるもので、理想的にはある程度、保証される方が望ましいとも考えられます。

 

 今すぐにどうこうするのは無理かもしれませんが、生殖は人間にとってかなり大きなファクターであると思います。少しずつ、生殖資本の搾取構造を調整して、富の再分配ができるようになってくると、人々の不満が減ることで、テロや犯罪などが起こりづらい世界になるかもしれませんね。テロや犯罪が減れば、みなさんも安心できるかと思いますので、みなさんも気が向いたら、生殖資本の再分配にご協力ください(笑)

 

 まとめます。

 

1.生殖に優位となる資産および資本を「生殖資本」と仮に呼ぶ。

2.容姿資本、地位資本、金銭資本の三つの因子によって生殖資本を今回は定義しておく。

3.この場合、次の三つの対策によって、生殖資本を再分配することが可能になると推定される。

 

 4.適切な運動習慣や栄養習慣を身につける機会の提供。

 5.情報の正確化による偏見の払拭と、「負のもの」の利点の発掘および正当化。

 6.生殖に十分な金銭を得る方法か、それができない場合十分な金銭の提供。

 

7.ただし、実際にはもっと複雑な因子が無数に絡み合って、人間の生殖は成立しているとも考えられる。

8.だから、性の問題は、本当はこんなに簡単に割り切れる問題ではない。

9.なので、「鵜呑みにはせず」、ひとつの思考のモデルとして気が向いたら参考にしてください。

10.(補足)個人的には、こうした資本構造、経済構造を越えたものとしての欲望や愛を信じたい(笑)

 

 

 今日は、以上です。

 

 ではでは~♪