魔法、魔術について合理的に考えてみるブログ

「魔法使いになりたい」、という欲望について真剣に考えてみました。

層化術(統合失調症における妄想の活用手法の一つ)

今日は「層化術」という術式について紹介したいと思います。これは統合失調症の「妄想」と呼ばれる症状を活用する手法の一つです。以前に「幻覚」の活用手法については解説しましたが、今回は妄想の活用手法についてより細かく詳述してみようと思います。

 

まず解離性障害に時として認められる「パラコズム」について知ってください。簡単に言えば、これは非常に精密な空想の世界のようなものです。それらの世界は現実的ではないという意味では、まさしく妄想に他ならないのですが、それでも当事者にとってはそれはまぎれもなくもう一つの世界です。想像力豊かな人の特徴の一つと言えると思います。

 

つまり、世界の「複数性」について僕は今言及しているわけですね。これについては当ブログの「多世界生成術」などを参照してください。ブログ内検索から出てくると思います。

 

層化術の発想には層化抽出法などの概念なども用いられています。その辺りの理論も参考になるかもしれません。とはいえ、今回の記事では数式などには触れませんので、その点はご安心ください。

 

さて、では層化術について具体的に記述していきます。

 

これは、端的に言って「世界の層化」です。世界をいくつかの「層」に分けてきめ細やかに把握することで妄想による思考異常と問題行動を鎮圧することを目的としています。

 

まず統合失調症の人は基本的に普通の人よりも大量の情報を脳内に取り入れることができます。結果、普通の人には見えないものが見え(幻覚)、考えられないことを考える(妄想)ことができます。

 

ここで、普通の人の視点による世界の他に、統合失調症の人の視点による世界を想定できます。前者を常識層、後者を非常識層というふうに層化できます。

 

ここで「基盤性」の強度を策定します。要は、どちらの層がより基盤的であるのか? そういうことを比較検討します。人の数だけの基盤があります。多様性。あなたが統合失調症であれば、あなたの基盤は非常識層に分類されます。

 

さて、次に、層化原理の他に層ごとの「制約」原理を確認します。つまり、各層では、それぞれの支配原理が存在し、非常識層には非常識層に独特の原理、常識層には常識層に独特の原理がそれぞれ多様に存在します。これらの原理による支配がそれぞれの世界層に独特の制約をもたらす結果、それぞれの世界ではそれぞれの「文化」が営まれることになります。

 

この時、非常識層の原理を常識層に持ち込めば、当然エラーが生じることになります。逆も然りです。このエラーが「妄想」の正体であると考えられます。

 

さて、僕が実際に使用している層化原理における分類を一応書いておきます。僕の経験上、概ね、次の層化原理を導入することで、大概の統合失調症による問題を才能へと転換することができます。

 

1.人層(人の思想や行動を主体とする層)

2.地層(大地などの自然科学的な原理を主体とする層)

3.天層(天使の思想や行動を主体とする層)

4.悪層(悪霊が跋扈する層)

5.聖層(聖霊が祝福する層)

6.霊層(聖霊と悪霊の中間域に当たる霊のスペクトラムを表現するための層)

7.神層(神霊が支配する層)

 

ひとまず、この七つが基本になると思います。もっと細かく分けることができますし、もっと大雑把にすることもできますが、ひとまずこれらの層化原理によって妄想の解体手法を見せようと思います。

 

例えば、自分は神に支配されている、という妄想。

 

これは厳密には正しいのですが、世俗というのはいつも間違っているものです。したがって、正しい着想をそのまま常識層に持ち込めば、それは非常識層の価値観ゆえにエラーを起こし、排斥されます。逆に、人間こそこの世界の王である、という妄想。これは常識層においては常識なのですが、非常識層に持ち込むと、一なる神以外の偶像を崇拝している多神教の罪を犯すことになり、排斥を被るリスクが高くなります。ラジオではチューニングする場所によって聞こえてくる番組が変わりますね。これに似ています。つまり、それぞれの層にそれぞれに独自のルールがあり、そのルールに違反すると、その層域においては妄想という現象が生じるのです。その意味では、妄想というものは厳密には存在しません。端に、あるべき層にその現象がカテゴライズされていないことで解釈上のエラーが生じているだけです。

 

あるべき場所にあることで、全ての現象はその真価を発揮します。ピアニストからピアノを奪って、銃を持たせてもしょうがない。軍人もピアニストもそれぞれの立派な仕事ではありますが、それぞれにあるべき場所というのがあるわけですね。これが層化原理の基本です。

 

恋愛妄想についても見てみましょう。

 

例えば、Aさんは私のことが好きだ、話したことはないけど、という妄想。

 

これも層化原理によって解決できます。まず、「縁」の概念を導入します。縁というのは様々に入り組んでおり、実際にどうなっているかについて知るには、幾多の重厚な検証を経る必要があります。とても難しいです。一方、直感の原理にも一理あります。つまり、この時、Aさんは確かにあなたのことが好きであるのかもしれません。しかし、それは「どの層」においての事実でしょうか? もしもその直感が人層においての直感であるのならその直感を常識層に持ち込んでも問題は起きません。しかし、実際には、それは地層の原理かもしれないし、霊層の原理かもしれませんし、はたまた悪層の原理かもしれません。

それが地層の原理であれば、その直感は人に直接的に作用すべきものではなく、究極的には自然界の原理によるものですので、自然科学的なものであることになります。どういうことかと言えば、例えば、「生物学的には」そのAさんはあなたに発情してはいる、しかしそれをAさんという「人格」が正確に認識しているかどうかは別問題です。この場合、その地層の原理を人層に転換できなければ、その恋愛を開始することはエラーとなり、妄想になってしまいます。

それが霊層の原理であれば、その霊がどの程度の善き霊であるのかが重要になります。その霊が悪霊であれば(悪層)、その言葉をそのままに受け入れることはエラーを生み出しますし、それは妄想ということになってしまうでしょう。あるいはその霊が善き霊であったとしても、しっかりとその言葉を屈曲せずに受け止めるのでなければ(誠心)、意味が曲がってしまいます。基本的に巫覡として託宣を得るためにはどこまでも清らかでなければなりません。そして、心は空っぽに綺麗にしておかねばなりません。エゴが絡むと、預言が曲がるからです。

 

迫害妄想についても見てみましょう。

 

例えば、みんなが私のことを迫害している、みんな敵だ、という妄想。

 

これはある意味、正しいです。主に、地層においてはそうで、それと言うのも生物というのは生存競争をしているのが普通だからです。互いに互いを蹴落としあっている側面は確かにあります。よって、みんなが敵であるということも、みんなが「私」を害しているというのも真実です。しかし、それをそのまま常識層に持ち込めば、エラーが生じてしまいます。その場合、地層の言葉を人層にまで正確に翻訳してやらなければ、一般の人達には伝わりません。正確な翻訳なしに、その想いや言葉を健常者にぶつけても、「妄想」というふうに解釈されてしまうでしょう。実際には妄想ではなくて、正確な「洞察」なんですけどね。

 

要は、妄想なんて存在しないということですね。厳密には。全てのものにそれぞれの価値があり、ただそれを活用できるだけの才能のある人とそれができない人との文化の差異があるだけです。実のところ、この世界に役立たずなんて一つもないんですよ?(笑) すべてのものに潤沢な意味が宿り、今も完全にそれぞれにそれぞれの職務を全うしています。全ての人がそうですね。だから、無駄な人なんて一人もいないし、ないがしろにされてもいい人も、殺されてもいい人も、暴力を揮われてもいい人も、一人もいないわけです。

 

つまり、妄想が生じるというのは「世界から爪弾きにされている」、ということですね。全ての人たちが適材適所に各々の「天国」に配されますように。あなたがあなたの「世界」をちゃんと見つけられますように。祈ります。

 

 

こんな世界と泣かないで お願い

目に焼き付いている

君があの日失くした青い空へ

 

(まふまふ,「栞」,2022 の歌詞より引用)