魔法、魔術について合理的に考えてみるブログ

「魔法使いになりたい」、という欲望について真剣に考えてみました。

ノアの手紙――蛹篇

「とりあえず、この三人を殺してくれればいい」

 そう言って、男は三枚の写真とその人たちに関する資料をテーブルに広げた。

 ノアは、それらの資料をひと通り見て、記憶すると、その場を去った。

 ノアはバッグの中から、ナイフを取り出してみた。

 月明かりに照らされていた。

 光源からの距離や蒸気、風の具合、それらの情報が同時に頭の中に流れ込んできて、一瞬、ナイフがねじれて見えた。

 

 ――世界はまっすぐじゃない。ねじれているんだ。

 

 誰かがそう言ったが、それが誰なのかはノアにはわからなかった。

 ノアは、大きな工場の前に立っていた。その工場は、幾人もの警備員とセキュリティシステムに守られていた。

 ノアは、暗号をまず解読する。

 次にロックを解除する。

 そして、警備員の運動を全て予測する。

 そのまま、彼らの目に留まらないようにしながら、工場の中を分け入っていく。

 ノアは昔からこの手のことには慣れていた。

 ノアの家系は、殺し屋の家系だった。だから、隠密行動はお手の物だった。

 ノアには双子の妹がいた。彼女は、ノアよりもずっと目立つ。そして、ある時、殺し屋をやめて、どこかに行ってしまった。父はそのことでとても怒った。あの時の父の権幕は今でも忘れられない。父がどうしてあそこまで起こったのかは、ノアにも、わからなかった。

 と、どうしても通らなければならない扉の前で、警備員が二人。

 ノアはナイフを抜いた。

 さっと警備員の背後を取ると、そのまま、通りすがりざまに、首を掻き切った。

 さぁっと血飛沫が上がる。

 驚いたまだ生存している警備員が急いで銃を抜いた。

 ノアはサプレッサーを装着した銃で、その脳天を打ち抜くと、そのまま、扉のセキュリティを解除し、工場の中に入った。

 工場の中は白い光で満ちていた。蛍光灯。

 ノアは、まず警備室の警備員をころし、工場のセキュリティシステムをダウンさせる。

 監視カメラの映像から、殺害対象の姿を見定め、しばらくそれを眺める。

 ノアの脳裏に対象の行動パターンがトレースされる。

 すると、ノアは、その殺害対象の動きを予測しながら、その元へと向かう。

 殺害対象は、工場内の喫茶室と思しきところで、お茶を飲んでいた。

 まるで、ノアがここに来ることがわかっていたようだった。

 殺害対象は、銃を抜くと、ノアになんのためらいもなく発砲した。

 ノアは、柔軟に身体を運動させながら、銃弾を避け切ると、ナイフを殺害対象に向かって投げた。

 勝負はあったように見えた。

 しかし、相手にはボディーガードがいたようで、そのナイフは叩き落されてしまった。ボディガードの存在は、ノアの認識外にあった。

 ノアはそのことをとても疑問に思う。今まで、敵についての情報を見逃したことがなかったので、余計にいぶかしかった。もしも、ノアの予測を越えられる誰かがいるとすればそれは……

 

 ノアの目の前に、彼女の双子の妹のリリスが立っていた。

 

 ノアはたじろいでしまった。

 リリスは、銃を抜いた。

 ノアは気をとりなして回避しようとしたが、リリスの銃弾を左腕に受けてしまった。とても痛かった。

 ノアは撤退しようと思った。

 ――左腕を失った状態では、リリスには勝てない。

 左腕は、ノアの利き腕だった。

 ノアは、すぐに退却しようと、部屋から出た。

 リリスは、すぐに追ってくる。

 銃弾がノアの右耳をかすめる。

 ノアは焦った。

 死の危機を感じた。

 手榴弾を使う手もあったが、できれば、最後の最後まで使いたくはなかった。

 爆発物を使っては、隠密行動の意味がない。

 そして、困ったことに、リリスはノアよりも足が速い。

 状況は絶望的だった。他の警備員もノアを追ってきた。

 ノアは、

 ――ああ、死ぬんだな。

 と思った。

 思えば、人を殺すだけの人生だった。

 本当にそれだけだった。

 今のノアには、何も自分と呼べるものが残っていなかった。人を殺して、殺して、特別に意味もなく、殺して、ただ仕事だから、殺して、それだけで……

 それが、ノアの定めだった。目的なんて何もなかった。

 ノアは何か言った。

 しかし、ノアには自分が何を言っているのかもわからなかった。どんなに言葉を紡いでも、その音は無限の虚無に吸い込まれていってしまう。

 ノアは、警備員の持っていた銃を奪っては、リリスに向けてそれを連射するということを繰り返した。

 そうしているうちに、右手はどんどんしびれていく。

 一人、殺す。二人、殺す。三人、四人、五人、六人、……

 ノアは、自分では今まで気づいていなかったが、自分がずいぶんと罪の意識にさいなまれていることを知った。心は、痛みばかりであふれかえっていた。

 ノアは自分がノアであるということすらももう、確信を持つことはできなかった。生きている意味なんてないのだ。

 ――闇雲に生きてきて、闇雲に死ぬ。バカみたいだ。一体、何のために今まで生きてきたのだろう?

 ――所詮、自分にはこれが限界なのだ。

 ――何一つ、何一つ、抱きしめることもできないままで。

 ――すべて夢だ。

 

 すべて

 

 名もない感情が胸の中を流れていく。そのたびに、罪の鼓動を感じた。

 ――私はあまりにも穢れ過ぎていたのだ。

 もう銃を撃つのは限界だった。右手はしびれて動かなかった。

 サイレンが鳴り響いていた。

 警備員も集まってきている。

 ノアも出血により疲弊していた。

 うまく警備員の目を欺けたとしても、リリスの目までは欺くことはできない。

 それに――……

 

 ……――生きているのはもう嫌だった。

 

 リリスがノアの目の前に立っていた。

 リリスはノアに銃を向ける。

  

 ノアがリリスに笑いかける。

 リリスはそれと同時に、銃の引き金を引いた。

 

 死の間際、ノアは思った。

 

 ――嘘なんてつけないのだ。どんなに冷酷になろうとしても、どんなに心を凍らせても、どうしても苦しいものは苦しいのだ。

 

 ――これでやっと、楽になれる。

 

 ノアの死に顔は、とても安らかだった。

 

 ――ありがとう、リリス。抱きしめられなくて、ごめんなさい。

 

           

                                ノアより

 

 

 

 

枯れ行くパトスでは

破れるだけ

痺れた右手じゃ抱き締められない(雄之助,『Pathos』歌詞より引用)

 

少年および少女という概念とかについて。

 今日は、少年や少女とは何なのかについて、考えましょう。

 

 単純に言うと、「年が少ない」のが少年で、「女が少ない」のが少女、ということになるのかもしれません。

 

 ここで、一律の時間軸を設定しますと、「一律の少年」や「一律の少女」ができてきますね。

 

 例えば、「カレンダー」とか「時計」とか「日付」と呼ばれるのは、この一律の時間軸に当たります。

 

 一律の時間軸は、一律の時間感覚しか認めないのですが、実際には、僕たちの主観における時間はその時々場合によって、様々な濃度を持っていますね。一律な時間においては同じ時間であっても、実際に僕たちが感じる時間は、長くなったり、短くなったりします。

 

 つまり、実際には、「時間というのは一律ではない」、というふうに考えられるかも知れません。

 

 この考え方によれば、人の数だけの時間があり、感覚があり、また、多様なレベルでの「少年」、「少女」があるということになります。

 

 つまり、一律の時間でもって見られる一律な人間性とは別に、その人その人の時間感覚に応じた、少年少女が生じるであろう、と考えられます。

 

 なので、多様な少年少女が多様な世界に存在しているというふうに言えるかもしれません。

 

 このように考えてくると、刻一刻と状況が変化することによって、なにが少年であるかとか、なにが少女であるか、という概念は変化するのであり、ある一定の特徴としてはとどまっていません。つまり、少年とか少女とかいうのは、一定した特徴というよりも、その都度、生成され、変化するものとして考えることができます。これを、「少年(子供)への生成変化」あるいは、「少女への生成変化」というふうに仮に呼んでみましょう。

 

 すると、僕たちは、「子供である/少女である」のではなく、「子供に生成変化する/少女に生成変化する」のだ、というふうに言えるかもしれません。

 

 つまり、子供が子供である、少女が少女であるのではなく、僕たちはその時々でその都度、「子供になる/少女になる」ということになるかもしれません。

 

 それで、生成変化というのは、絶えず動いていて定まりませんから、少年少女の定義も絶えず動いて定まらず、場合によっては、80歳の少年少女というのもあり得るのかもしれません。その辺りの判断は、個々人の感じ方、つまり、「時間感覚」に依存するかも知れません。

 

 感覚としては、とても若々しいおじいちゃんおばあちゃんはいますね。少年少女のような。ですので、一口に少年少女と言っても、様々な少年少女がいるのかもしれません。

 

 巫女の踊りについて。

 

 詳細な研究が必要な点だと思います。すごく興味があります。そのうち、暇とかあったら、フィールドワークしたいくらいです。

 ここでは、トランス状態における踊りについて記します。

 これも、基本は印を結ぶのと同じで、自分が心地よい体の動きをさぐっていくのが基本ではないかと思います。つまり、空を観想して、それで自由に身体を動かして遊んでいるうちに、何時しかそれが踊りのようなものに発展する、というような感じではないかと。

 おそらく、巫女の踊りなどは、その流派によるんでしょうけど、それぞれのトランスを引き起こしやすい運動をしているのではないかと思います。

 これ、本当におもしろいだろうな。調べたら。

 

 人権について。

 

 たいせつですね。世の中はなかなかきれいには回りませんが、それでも人権を志向するのはとても大切なことではないかな、と思います。そして、適度な息抜きも忘れないのがいいかもしれませんね。

 

 死刑制度における被害者の心理への補助処置について。

 

 被害を受けた人のこころを癒すのは極めて難しいことだと思うのですが、何もしないわけにはいきませんね。とは言え、国家的にできるのは経済的援助で、宗教的にできるのはその心理への寄りそいと、あとは「カタルシス」ですよね。なんらかの。「喪の作業」とかに通ずる感じの。場合によっては、犯罪を犯してしまった方と被害者の方との間を取り持つことも有効かもしれません。

 しばらくして、心が立ち直ってきた後なら、芸術などもある程度は有効性を持つかもしれません。

 

 エリートという概念について。

 

 色々ですよね。政治的エリート、経済的エリート、文化的エリートetc……いろんなエリートがいらっしゃるようです。エリートの皆さんは、たぶん、日本とか世界を引っ張っていかれる方なのだと思いますので、何というか未来?とか世界とかをよろしくお願いします(笑) エリートの方とかって、普段どんなことなさってるんでしょうね。やっぱり官僚のお仕事とかなさっているのでしょうか。あとは社長とか芸術家とかもそうなのかな? ちょっとわかりませんが。以前に、エリートというか高知能児のことは大分調べてたんですけど、忘れちゃいましたね。どっかに印刷した資料はあるはずですが、発掘するのが大変(笑)ちなみに、読書型の高知能児は性的に早熟なのだそうですよ(たしか) おもしろいですね。読書ばっかりしてる高知能児を見つけたら、エロイんだなと思うといいかもしれません。・・・・・・・もちろん、冗談ですよ? そっとしておくのが一番ですね。大体の場合。何でもそうですね。触らぬ神に祟りなし。

 でも、「知能」って言葉もむずかしいですよね。いろいろなご意見あるところかと思います。なにを知能とするかというのはとても難しいですね。知能もいろいろな知能(多重知能理論)があるのかもしれません。すると、適材適所なのかな、結局は。優劣じゃなくて。難しいところですね。

 

 教養という概念について。

 

 僕は曲りなりのも魔術師(見習い)を標榜していますので、あんまり、必須の物とかは設けたくない気もするのですが、そうだな?(笑) 何だろう? 『千のプラトー』おすすめです!

 

 

泣きたくなる話

 真面目が良いことなのか悪いことなのかは、正直私にはわからない。

 言えることと言えば、月並みなもので、真面目すぎるのも危ないし、不真面目すぎるのも危ないのではないか、という無難な提言でしかない。

 それが、私の限界だった。私にはそもそも大したことができる器がないのだ。

 立法することができない。断言することが。

 しかし、今、立法することに成功しているという矛盾はある。つまり、立法することができない、と断言している。

 これを契機にして、私は断言の機能を回復することができる。「ああ、私にも断言することができるんだ」って。

 すると、すこしずつ、断言できるようになってくる。私の場合は。

 人間は、天邪鬼な性質がある。

 裏返しな性質。

 そういう性質をすごく穢い性質だと思う人もいるかもしれない。

 実際、それは穢いのかもしれない。

 しかし、そうした穢いものの中に創造性があることもまた、あるのだと思う。

 アル中でも、立派に小説を書く人もいるかもしれないし、精神に変調をきたしている変人でも、素敵な絵画を描く人もいるかもしれない。

 トイレがアートになることもある。

 そう言ったことは、往往にして、社会的な文脈に依存している面もある。そして、そう言った社会的な文脈の動きは、未来を予測することが難しいように、けっこう難しい。すくなくとも、私の予想はあまりあたらない(私は未来の予想が苦手なのだ)。

 ただ言えるだろうと思うのは、穢いと呼ばれる性質を、切り捨てるのは危ないということだ。清潔への執着は、強迫神経症となる。

 ある程度、穢れへの耐性が必要で、そのためには、穢れへの暴露が必要となるのだ。

 人間は、きれいなものと穢いものとが両方そなわっているときによく生きることができるのではないだろうか。

 自分を律する心。そういうものがあってもいいだろう。それはそれでとても素敵なことだと思うし、その心意気を邪魔するべきでもないし、また本心からそのように決めている人のこころを動かすことなど私にはできない。

 時に自分を律することができないこともあるだろう。また、「律するべきではない」時もあるだろう。何事につけ、人間と呼ばれる生物としての不完全な器官には、「ガス抜き」が必要となるのだ。

 適度に、自分を律することから解放しなければ、すぐに精神や身体が破綻してしまう。とてもデリケートで、そして、カオスだ。

 その心の奥底は混沌としている。そこに浸りすぎても危ない。そこを避けすぎても危ない。

 すると、また、先述した、元の月並みな意見に回帰することになる。それはまとめると、こうなる。

 「過ぎたるは及ばざるがごとし」

 何の面白みもない帰結だ。だから、もうすこし話してみようと思う。このまま終わるのでは、何か心もとない。この先の話がおもしろくなるだなんて保証はどこにもないけれど。それでも、やってみる価値はあると、わたしは信じるし、いつも信じてはいる。

 さて、すると、なにが大切なのか。

 新しいことに挑戦することだろうか? ならば、大切なのは勇気ということになるだろう。

 勇気は重要な徳の一つに数えられるだろう。僕も勇気の価値については、信じて疑わない。

 しかし、勇気が蛮勇となることもあるかもしれない。あるいは、蛮勇は勇気とは呼ばないという方法もあるが、それは、カテゴリーの分け方の問題である。

 さて、この時、ポイントとなるのは、はたして、蛮勇は本当に役に立たないのか? という問題である。

 もしも、穢いとされるものが価値を持つことがあるのなら?

 蛮勇もまた、貴いものとなる可能性を十分に持っているであろう。

 本当の勇気とされるものが、傍から見たら、無謀に見えることもあるかもしれない。本当に色々なケースが具体的に考えられるのだ。一概には言えない。本当に。

 しかし、だからと言って、「一概には言えない」の一言で片付く問題ではない事もまた事実だ。私たちには、不完全であると知りながらも、「一概に言うべきである」局面があるのだ。

 それは、穢い。偏見だ。何せ、熟考の果てにたどり着いたものであっても、独断にはちがいないのだから。

 しかし、それでも、私たちは、どこかで折り合いをつけるしかないのだ。そういう穢いものと。

 そうしないと、延々と懐疑のみが募り、いつまでも、いつまでも、喧騒が響くことになる。

 もちろん、喧騒が悪い訳がない。それはケースバイケースだ。酒場の喧騒はそれなりにいいものである。

 しかし、懐疑主義の場における喧騒はどうであろう? それには収束する兆しというものがない。はたして、それでいいのだろうか?

 リベラルという言葉がある。

 私にはこの言葉はよくわからないが、どうも自由を強調する立場を表しているらしい。

 保守という言葉がある。

 これは、どうも、現状維持を強調する立場を表しているらしい。

 この場合、これらは、無論、どちらも大切だ。

 現状を維持する能力も、自由に挑戦する能力も。

 なんて、月並みな言葉だろう。

 また、これだ。

 

 「過ぎたるは及ばざるがごとし」

 

 まったく、私の文章には、独創性というものがまるで欠けている。どうして、こうも分かり切ったことしか言えないのだろうか。

 私は決めなければならないのだろう。独断で。穢く。

 強いて決めるとすれば、私は、保守とリベラルの中間で、いささかリベラルよりなのかもしれない。根拠と呼べる根拠もないのだが。何せ、「穢い独断」なので。

 しかし、いま、決断してみて思ったのだが、存外、こういうのも悪くない。そんな気がしてきた。

 なるほど、これは、ある意味で、楽かもしれない。効率的というか。

 それがいいことなのか、悪いことなのは僕にはわからない。しかし、決めよう。今日は何か決めてみよう。決定は覆ってしまうかもしれないが、それでも、この「実験」にはそれなりの意味があると私は信じてみることにした。

 決断は必要だ。生きていくために。しかし、「決断すべき」ことの数というのは、そんなに多くはないのかもしれない。

 私は卵を割って、卵焼きを作る。その動作を行うには、その動作への決断が必要だったのだ。「卵焼き作ろう」って。

 そして、私は、この卵焼きを作るという動作そのものについて、とても、とても暖かいものを感じるのだ。その決断に。それは穢い決断であってもそうなのだ。それは、独断だ。どうして、卵焼きを作る? そんなことを問うてどうするというのだ。

 なるほど。この言説もまた無意味だろう。知っている。知らないという形で。

 そして、この文体が、いささかどころか、きわめて気障であることもまた書いていて分かる。正直言って、何だか恥ずかしくなってきた。

 しかし、とりあえず、書けるだけは書いてみようと思う。それもたまには悪くないだろう。

 ところで、この、文章は、当ブログのカテゴリーで言うと、魔術ではなく、直観術に当たる。つまり、これらの文章は比喩なわけだが、いつもの文章よりは、多少論理的な比喩かもしれない。その点の評価は、この文章を読んだ人が好きにすればいいと思う。思えば、この態度もひとつの決断には違いない。

 小説というのは、ある意味、自分を隠すのに向いた媒体なのかもしれない。この文章もまた小説の一種だとすれば、ここに私のすがたはないのかもしれない。あるいは、隠れているだけで、ひょっこりと見える場合もあるのかもしれない。隠れているということは、「いない」ということを表しているわけではない。不在とは別の問題なのだ。

 私という中心があって、そこから世界が広がっているという価値観。これは、自己中心的だ。

 しかし、私の肉体に私の目玉がつきそれを通して世界を見る以上、私の世界観というのは、いつも、大なり小なり自己中心的なものなのだろう。

 利他も利己も所詮は、エゴイズムなのかもしれない。

 エゴ。

 エゴの消去自体は、難しくない。エゴなどないと思えば、エゴなんて、あっさり消えてしまう。

 しかし、その場合、「私」が消えてしまう。

 本当にそれでいいのかどうか。

 これは、ひとつの重要な命題になり得るだろう。

 私はそれでもいいと思うのだ。もしかしたら、エゴの消去などいうこと、主体性の欠如ということ、それは、とても、「穢い」ことなのかもしれない。

 しかし、その穢いことの中に、私は可能性を見たいのだ。あるいは、穢いことを許容する世界に可能性を見たい。

 これはとても難しい。

 犯罪を許容するということではないのだ。しかし、「犯罪性」は許容する。そんな感じのニュアンス。うまく言えないが。

 うまく言えない、というこの言葉は、とどのつまり、僕の「逃げ」なのかもしれない。これは、あるいは、卑劣な行いなのかもしれない。もしくは、この行いを卑劣だと感じるのは、僕だけで、本当は、卑劣でもなんでもないことなのかもしれない。

 それはわからない。

 これもひとつの穢い決断だ。わかることとわからないことを分けること。私にはとても難しいが、今日は思い切って、やってみた。

 もちろん、やってみただけでは不完全だ。そこから何らかのベネフィットを生み出せるのでなければ。

 この文章はどんなベネフィットを生み出しているだろう。

 それは、おそらく、被害者と加害者の関係に似たものだろう。

 私は、被害者になり得、加害者になり得る。すごく簡単に、そうなり得る。僕の文章が誰かを傷付けているかもしれない。誰かの文章が私を傷付けるかもしれない。そういう世界に、私たちは生きている。

 実際に観測しやすいのは、自分の傷であるが、私は、すごく些細なことで傷つくので、いつもボロボロだ。

 しかし、多くの場合、そうした、私を傷つける発言をしている人たちは、何も私を傷付けようと意図してその発言をしているわけではないことも分かっていた。

 そして、とても嫌なことだが、私の発言も、きっと誰かを傷付けているだろう。深く深く。

 泣きたくなる話である。

 

 

 

P.S.うーん。なんか微妙ですね。あんまり面白くはならなかったみたいです。残念。

アメリカのトランプさんとか恋愛とかについて。

 はいさーい。みなさん、こんばんは。

 

 さて、今日も気になったことについて書いていきます。

 

 アメリカのトランプさんについて。

 

 僕、政治のことは残念ながら、勉強不足でよくわからないのですが、ただ、ちょっとトランプさんを見てて思うのは、「あ、この人、なんか……かわいい!」みたいな感じです。なんかすごい叩かれてるので、こんなこと言うべきではないのかもしれませんが(笑)。まあ、過疎ブログだし、大丈夫……だよね?(汗)

 なんか、惹かれませんか?(笑) なんでだろう? すごいかわいいんですよね。セクシャルというか。ふしぎです。

 ただ、僕の個人的な好みと公けの政治の話はまた別の話だと思うので、その辺は政治にくわしい方に御聞きしてみてくださいませ。

 あの人、可愛いんだよな、なんでなんだろ?(笑)

 もしも、自分が美人だったなら、なんか、Take a hint(nightcoreの曲です)してBad boy(これもnightcore)したくなる感じ(笑)

 自分の願望のキモさにビビるけど(笑)

 欲望って、純粋なものもありますけど、人間である限り、どうしてもキモい部分があるのはしょうがないですよね? ね? はい、すいませんでした~

 

 魔術師のなり方について。

 

 これについて、日々研究中です。直観を会得できればそれでOKなのですが、たったそれだけのことが、非常に難しいというか、手間がかかるのです。おそらく、僕が話終わるころには誰一人聴衆いなくなっている(笑)絶対途中で「回りくどい!」って怒られる(笑)そんなこと言ったって、全部必要なんだ、、、、、、よ! とか思うけど、そんなことをこの弱小人間がのたまったところで、しょうがないのですが。簡単に誰にでも届くように研究中。

 やっぱり、小説とか読むのがいいと思います。現状では一番現実的で、一番安全だと思います。

 このブログの直観術とかでもいいと思いますし。いくつか上がっていますので、ご覧になってみてください。

 でも、僕の魔術は、あくまでぼくの魔術ですから、本当なら、魔術師志望の方が自分の手で僕とは別個に作り上げるのが本筋なのだろうな、と思います。みんな僕に批准したら、世界が、プルプルタンファシズムになってしまう藁 それは避けなければなりませんね(笑) ならないとは思いますが。

 魔術は、その特性上、独自の物であった方がいいと思います。すくなくともできるだけ。自律的思考が重要かと。僕の言うとおりにするのでは、他律になってしまって、アンマリうまくないんですよね。難しいです。

 

 身を守る呪文について。

 

 印を切る方法を簡単に書きます。

 まず、瞑想してくださいませ(ここで言う瞑想は、仏教でいう「空の観想」と呼ばれるものでOKです)。そうしたら、その空の観想をしたまま、自由に手を動かしてみてください。それを毎日続けていくと、おそらく、「十字」を切る形に近づいてきます。そこまできたら、多分、後はわかる(笑)その十字が印を切る際の大体の基本となります(多分、人によって、ある程度形にバリエーションがあると思います)。多分、「この動きをすると、なぜか気分が良くなる」という快適なポイントが各々でおありになると思いますので、ご興味のある方はお金もかかりませんし、やってみるのもいいかもしれません。その形と感覚が掴めたら、後は、不安になったりしたときに、人のいないところで、印を切ればいいと思います。快適な印象と動きが結びついていますので、好きな音楽を聴いてリラックスするのに似た効用が得られるのではないかと、僕は仮説を立てます。みなさんもいろいろと検証なさってくださいませ。

 ポイントをひとつ。目の動きは思考とか感情を流動化し、直観に誘導するために非常に重要です(EDMR参照)。 

 

 文学界新人賞について。

 

 文学界新人賞に、東浩紀さんがいる!!(笑) なんと……どうしよう。なんか書いて出そうかな。でも、気分次第なんだよな(笑)、小説は(僕の場合)。でも別にプロじゃなくても、ブログで文筆はできるしな(てか、まずもって受賞できないし。文学界新人賞に何回か落ちてます)。

 お金も大切だと思うし、本が買えるから好きですけど、それよりなにより、誰かが自分の文章で元気づけられてくださったときの感動ね(笑) あれはほんと最高だと思う。本当に。みなさんも誰か元気づけてみてくださいませ。落ち込んでいる人が少しでも元気になってくれると、本当にうれしいです。これはマジですぜ。おすすめの精神健康法。多分、最高の悪魔祓いの一つだと思う。利己主義と利他主義って同じものだと思うんだけどなあ。小乗仏教より大乗仏教の方がずっと効率的というか、なんと言えばいいんだろう?(笑) かなり優れていると思います。「情けは人のためならず」、と言いますね。

 

 転移について。

 

 救い主に対し、救われた人が抱く恋愛感情をとりあえず、恋愛転移と呼んでみましょう(「救う」というのは上から目線で、ちょっと難しい言葉なのですが。この際は、何とかご容赦を。他にどう言ったものか(笑))。

 ちょっと、面倒くさい話になるかもしれません。ご容赦を。

 まず、恋愛をするということは、欲望がその対象に対し、注がれているわけですね。そして、その対象というのは、ある「外形」を持っています。そして、全ての形は、構造を持っていますね。つまり、ある構造に欲望が注がれている(これを「欲望を対象に充当する」というふうに仮に呼びましょう)

 そうすると、恋愛転移が起こるためには、次の二つのことが起こる必要があります。

 

 1.対象の構造が恋愛の外形をしている。

 2.対象からこちらに欲望が充当されている。

 

 欲望を充当してもらうこと自体は、直観が会得できれば、難しくはないかもしれません。創造的なものは目を引きますね(とは言え、相手の観測機能に差異があるので、相手に見えるように厳密にはオーダーメイドに調整して合せなければなりませんが)。

 しかし、これだけだと、恋愛に変換されるとは限らず、構造が恋愛の構造をしていなければならない、と考えられます。例えば、せっかく欲望が充当されていても、構造が、「嫌悪」の構造をしていれば、その構造を認知行動療法により調整しない限り、いくらアプローチしても、嫌悪感ばかりが募るというふうに、理論上は考えられます。

 詳しくは、

 フロイト全集。

 ユング全集。 

 あと、ラカンとかクリステヴァの本とかを熟読玩味してみてくださいませ。できれば、全部読んだ方がいいです。人間の心理はほんとに複雑で、これを全部読んでも多分ぜんぜん足りないと思います。しかし参考にはなるかと。

 ポイントは、「相手を操作しようとすると恋愛は成功しない」という点です。なぜか。なぜなら、創造性はいかなる操作プログラムも受け付けないからです。なので、利己的なプログラム感情? とか、そういう余計なものはすべて捨て去って、純粋に相手に贈与する気持ちがなければ、欲望の充当を勝ち取ることはできないものと思われます。つまり、愛を得るには、基本的には打算を捨て去る必要があると、理論上は考えられます。非常に簡単に、かなーり誇張して述べると、「対象を守るために自分の命を捧げるのが、最も恋愛において効率的であろう」、という感じです。

 いつもどおり、僕の個人的仮説にすぎないので、鵜呑みにはせず、みなさんもご自由にお考えください。少しでも参考になるところがあれば、幸です。

 

 てか、まず、大前提として、僕、モテないし(笑)理論は理論としてお考えください。実践については、モテる方に御聞きになってみてください(笑)

 非モテコミット」という概念もあるようですので、その点も考慮なさって見たほうが良いと思います。てか、そっちの方が、僕の理論よりもいいかもしれませんよ(笑)。僕の理論って、ただの非モテコミットにすぎない気もしますしね(笑) どちらを選ぶかは、みなさんにお任せします。大体そんな感じかな。

 ホントすぐに人のこと好きになっちゃうからな(笑)僕の場合は。好きになった人のことはみんな今でも好きですしね。未練がましい(笑)おそらく、ここに、僕がモテない理由が詰まっているのかな。

 

 今日は、直観術どうしようかな。八時か……書きたいのはあるんだけど、どうしましょうね。悩みます。

 

No differences

 レフの視点

 

 軍用の輸送機に乗って、レフはアメリカに向かっていた。その間、本を「構造化」して……要は読書をしていた。

 レフは魔術師だった。この世界の魔術師は、マテリアルなものすべてを情報化し、エネルギー化することができる。その情報化、エネルギー化の過程を、「変性」と言った。

 レフは魔術師として一流の才能を持っていたので、本を直接所有していなくても、どこの本でも自由に読むことができた。本どころか、水の心や鳥の声すら、学術用語に変換したり、原子力発電よりもずっとよい効率で、エネルギー化したり、そのエネルギーをもちいて、様々な物理現象を人為的に起こすことができた。少しなら、かなり広域の天候を変化させることもできる。

 レフは、ロシアで一番の魔術師だった。そして、この世界においては、ロシアで一番であるということは、世界で一番であることを意味していた。

 この世界に、レフに勝てるものは誰もいなかった。

 少なくとも、現時点では、だれもがそう思っていたし、アメリカとロシアの戦争は、圧倒的にアメリカの劣勢だった。

 魔術の才は、天性のものだったが、なぜか、確率的にロシアには魔術師が大量に分布していた。

 アメリカは、魔術の才能に不足し、その代わり、科学技術による擬似魔術である「エルクレイドシステム」を積極的に用いた。これは、人間の脳神経に電磁波によって接続し、結果としては魔術と同じ効果を導き出すものであったが、身体の神経系の損傷が激しい上に、生来の魔術師との魔術技能におけるスペック差は明らかだった。

 しかし、現状のアメリカはなりふり構っていられない。なにせ、戦争に負けそうなのだから。

 そんな事情なので、レフは、完璧に自国の勝利を確信し、ある意味では、おごっていた。

 しかし、そんなレフを責めるというのもいささか無理のある話だろう。何せ、レフは今まで、自分以上の魔術師、――自分に匹敵する魔術師というものに、出会ったことがなかったのだから。

 イギリスは、表面上は中立の立場を装いながら、アメリカやその同盟諸国にエルクレイドシステムをもちいた様々な兵器を売りさばくことで、漁夫の利を得ていた。イギリスは今や大国だった。

 魔術師同士の戦は、既に身体が運動しだす前から決まっている。構造化の能力、つまり、森羅万象を読みとる能力の高い方が勝つ。空気の挙動、蒸気の濃度、流体力動、そうしたものをすべて、読みとり、尚且つ適切に再構成する能力である。

 魔術師は、構造化し、初期値鋭敏性をもちいて、変性を行うことによって、魔術を行使する。

 銃を使っても、銃弾の軌道をあやつることができるので、もはや一般の兵士では太刀打ちが不可能であった。

 しばらくすると、レフの乗った航空機は、アメリカの本土に到着した。

 そして、既にロシアに占領されているアメリカの領土を視察する。

 構造化すると、土地に根付いた様々な記憶が「幻視」となって、レフの目の前に繰り広げられる。たくさんの人が死んでいた。たくさんの人が泣いていた。

 レフは悲しい気持になったが、ここで留まるわけにはいかなかった。

 ――戦争を早く終わらせるのだ。できるだけ少ない犠牲でもって。

 そう思った。

 視察の後、作戦会議を聞いた。

 どうやら、アメリカ側には、一人、すぐれた魔術師がいるらしかった。天才的に。

 あるものは、レフでももしかしたら敗北し得るかもしれない、とまで言った。しかし、レフには自分が敗北するイメージは思い浮かばなかった。今まで、敗北したことがないのだから、当たり前と言えば当たり前だが。

 しかも、その天才は、日本人らしかった。

 その場に居合わせた魔術師の一部は笑った。「日本人の天才? それは語義矛盾だ」

 レフは正直、何もかもどうでもよかった。とにかく早く戦争を終わらせるのだ。その日本人には悪いが、投降しないのであれば、殺させてもらう。早く戦争を終わらせるのだ。

 レフは戦場に出た。

 そこには、エルクレイドシステムによって、自分の身体を削って戦う人たちであふれていた。

 レフの弾丸は自在に軌道を変え、全て敵兵に命中した。

 実を言えば、銃を使う必要はなかった。ナイフ一本あれば、それで十分だった。レフはナイフの分子を震動させて、規格外の切れ味をナイフにあたえ、変性によって運動能力を、踊るように、敵兵を切っていった。

 敵兵は次々と死んでいった。 

 レフは一人切るごとに、自分の心が死んでいくのを感じた。

 ――どうして、こんなことをしていなければならないのだろう?

 涙は出なかった。自分の心が何処にあるのかさえ分からなかった。

 戦況は圧倒的に見えた。

 誰にもレフを止めることはできなかった。

 

 その時、ロシア側の魔術師が幾人か死んだ気配をレフは感じた。

 ――エルクレイドシステムに敗北したのだろうか?

 レフは疑問に思って、辺りの雰囲気を全て構造化してみた。すると、ものすごい勢いで、味方の兵力が削られているのがわかった。死んだ味方にはレフの友人もたくさん含まれていた。レフは怒りを感じた。そして、次に失笑した。

 ――自分は何人殺してきた?

 レフはおかしくて笑った。

 そして、サッと方角を転換し、自分の味方を皆殺しにしてくれた「日本人」を殺しに行くことにした。

 

 

 砂智の視点

 

 砂智はいらだっていた。

 砂智は上官に、エルクレイドシステムの使用の中止を進言したが、受け入れられることはなかった。「お前、一人で戦うつもりか?」と鼻で笑われた。

 砂智は、戦争の愚かさについては、これまでの戦闘で嫌というほど知っていた。たくさんの人が死んだ。たくさんの人が泣いていた。

 砂智は今すぐに戦場に出たかったが、上官がそれを止めた。「今は待て、敵を引き付けてから、お前を投入する。既にこちらの魔術師連隊で、敵の包囲は完了している。奴らはもう逃げられない。そこをお前が皆殺しにしてくれればいい」

 エルクレイドシステムを装備した人たちは次々と殺されていった。

 砂智はもう何もかも嫌だった。砂智は泣いてしまった。

 すると、上官は、砂智の肩をたたいた。

「大丈夫だ。お前がいれば、勝てる」

 上官は砂智の涙の理由を何もわかっていなかった。

 砂智は、上官の手をはたき落とすと、そのまま指令室を出た。

 上官はやれやれといった目つきで、砂智のことを見ると、「どんなに魔術の才能があっても、中身はまだまだ子供だな」と言った。

 砂智は、その言葉を無視して、そのまま出て行ってしまった。

 やがて、砂智の出撃のときが来た。

 戦況は上官の作戦通りに動いているようだった。上官は人殺しにかけては、一級の才能を持っているようだった。

 砂智は出撃すると、次々と敵兵をころしていった。他愛なかった。誰も砂智を止めることはできなかった。

 大方のロシア兵を殺し切ると、砂智はあたりを見渡した。

 血潮。

 上官はよろこびそうな光景だった。

 砂智はナイフの分子震動を解くと、辺りの気配に耳を澄ませた。

 かなりの速度で接近してくる者の気配が感じられた。エルクレイドシステムではない。魔術師だろう。

 しかも、かなりの手練れだった。

 と、砂智の脳天めがけて、正確な射撃があった。砂智は、銃弾の軌道を操作しようとしたが、物凄く強い魔術に銃弾が守られていて、その軌道プログラムにハッキングすることができなかった。

 仕方なく、ナイフを分子震動させ、右手と左手の身体骨格を一時的に強化し、銃弾を切り落とした。

「お見事」

 と言うロシア語の声が聞こえた。

 砂智は声の方をにらみつけた。

 砂智と同い年くらいの男の子だった。金髪のロシア人だった。目が青い。

 砂智は、何も言うことなく、その少年に切りかかった。

 ――早く戦争を終わらせるのだ。

 それだけを思った。

 ――こいつを殺せば、すくなくともこの戦闘は終わる。こいつを殺せば。

 砂智は、「アルス」という身体強化魔術を用いて、銃弾の速さで、少年に切りかかった。

 レフは、さっと、砂智の剣戟をかわした。

 砂智はまさか、かわされると思っていなかったので、面喰ったが、すぐに、振り返って、水平に斬撃した。それもかわされた。

 砂智は驚きのあまり、じっと少年を見詰めた。

「私の動きが見えるの?」

 と砂智はロシア語で言った。

 少年は気障に両の掌を上に向けると、「もちろん」と日本語で言った。

 続けて、少年は言う。

「誰も、僕には勝てない。君も」

 砂智は、少年の挙動を構造化したが、あまりの多重セキュリティ構造に舌を巻いた。挙動を読むことができなかった。

 砂智と少年は、しばらく戦闘を続けたが、まったくらちが明かなかった。

 実力は互角のようだった。

 砂智は焦った。

 また涙が出てきた。

 ――こんなことしてる場合じゃないのに。

 ――早く戦争を終わらせないといけないのに。

「なあ」

 と少年は言った。

 砂智は無言で、先を促した。

「いいことを考えたんだ」

 と少年は言う。

 砂智はなおも無言だった。

 少年はそんな事お構いなしに続ける。

「君のその涙見てて思ったんだけど、優しいよね? 君は。本当はこんなことなんてまっぴらだと思ってるんじゃない? 戦争なんてさ」

 砂智は……頷いた。そのあとに「……私はやさしくないけど」とぼそぼそとした声で言った。

「じゃあ、もうやめよう」

 と少年は手をたたいて言った。

 砂智は、ポカンとした顔で、少年を見た。すぐに気を引き締めて、ナイフを構えた。

「だから、やめようって言ってるんだ」

 そう言って、少年はナイフを捨てた。

 砂智は目を疑った。

 しかし、動揺を隠しながら、「戦うつもりがないなら、投降しなさい」と言った。

 少年は砂智が動揺している隙に、手刀で彼女のナイフを叩き落してしまった。

 そして、砂智の後ろ手を取ると、砂智の腕をひねった。

「痛い……」

 と砂智は言った。

 砂智はピンチにあまり陥ったことがなかったので、苦痛に慣れていなかった。

「さあ、勝負あった。投降しなさい」

 と言って、少年は笑った。

 砂智は、少年をにらみつけた。

「大丈夫。大丈夫。そんな怖い顔しないで。『僕に』投降して」

 砂智はますます少年をにらみつけた。

「僕はもう、ロシア軍でもなんでもない。君も、アメリカ軍でも日本軍でもない。駆け落ちしよう」

 と少年は言った。

「あんたバカじゃないの?」

 と砂智は言った。

「大丈夫。僕の計画は完璧だ。何せ、僕の他のロシア兵は君に皆殺しにされてしまったし、アメリカ兵は僕が皆殺しにしてしまった。ここには僕と君しかいない」

「国を裏切るの?」

 と砂智は言った。「そんなことできるわけない」

「頭固いな。もっと柔軟に考えよう。僕や君が普通に国に所属していても、殺戮兵器として運用されるだけだ。なら、僕たちはここで死のう。そうすれば、この戦争も時期に終わる。僕たちが人を殺すのはここでおしまいだ」

 砂智は、無言になった。

 数秒俯いたまま黙っていた。

 やがて、顔を上げて、

「いいよ。死のう」

 と言った。

「契約は成立だ」

 と言って、レフは砂智の正面に回ると……

 口づけた。

 砂智は最初何が起こっているのかわからなかった。

 そして、数秒後、自分がキスをしていることがわかった。

 砂智は自分は夢を見ているのだろうと思って、だまっていた。

 ――神様、私はもうくるってしまったみたいです。アーメン。

「君はくるっていないよ」

 と少年は言った。

 どうやら、粘膜接触を利用して、砂智のこころを読んだらしい。

 砂智は恥ずかしくなって、少年の頬をひっぱたいた。

「やめてよ。殺すなら、早く殺せ。バカ」

「もう君は死んだよ」

 と少年は言った。「ファーストキスだったんだ? わーい」

 砂智は怒りのボルテージが上がったが、しかし、すぐにその怒りは悲しみに変わった。

 血潮。

「じゃあ、自分で死ぬ」

 と言って、砂智はナイフを拾った。

 しかし、その手は少年に留められた。

「僕の名前。わかる?」

 と少年は言った。

 砂智は、少年を構造化した。やはり圧倒的なセキュリティ構造だった。

「こうすれば、分かるんじゃない?」

 と言って、少年は砂智にキスをした。砂智は完璧に少年の破天荒さに飽きれてしまって、少年の好きなようにさせていた。

 さっと砂智の脳裏に、「レフ」という音が浮かび上がってきた。

「レフ」

 と砂智は言った。

「あたり!」

 と言って、少年は、――レフは笑った。「君は砂智。僕はレフ」

「あなたはレフ。私は砂智」

「あたり!」

 とレフはうれしそうに言った。「君をころせる人間は、世界に二人いる。君と僕だ。そして逆も然り」

 レフは続けて言う。「僕には君をいつでも殺せる用意がある。だから、僕と一緒にいれば、君はいつでも死ぬことができる。逆も然り」

「ならば、僕たちは一緒にしたほうが都合がいい。何せ、心中を誓った仲なんだから」

 砂智はなんだか、何もかもどうでもいいような気がしてきた。すごく悲しかった。その手はどこまでも罪に汚れていた。押しつぶされそうだった。すぐに死んでしまいたかった。でも――……

 ――レフとなら生きていけるかもしれないと思った。

「違いなんてないんだ」

 そうレフは言う。「僕と君に違いなんてないんだ。ロシアもアメリカも日本も。地球も火星も太陽も。本当だよ。みんな同じ空の下に生きているんだ。わかるだろう?」

 砂智は泣いた。涙が止まらなかった。

 レフは――……まさかとは思ったが、泣いていた。もらい泣きしたのかもしれない。

「君にはわかると思った!」

 と言って、レフは、砂智のことを抱きしめた。きつくきつく。

「私たちが、戦争を終わらせればいい」

 と砂智は言った。

「そのとおり」

 と言って、レフは笑った。

 砂智は笑った。涙でぐちゃぐちゃであったが。

「不細工だな」

 とレフは言った。

「うざ!」

 と砂智は言って、笑った。

 

 

 

 

 

Can I ask you?

Why the sky is blue?

There’s no difference

You and me (Nightcore-No differences[Aldnoah.Zero OST]より引用)

 

 

 

 

 

P.S.今日はラノベ風です(笑) 皆さん、ラノベはお読みになりますかね? 僕は読みましたね。ある程度。ソードアートオンラインとか。アルドノアゼロの二次創作にしようかどうかまよったんですが、結局オリジナル路線(笑)。むずかしいですね。二次創作は。

いつもどおり

 何をどうするべきなのかはいつも見えなかったが、とりあえずチョコレートを食べていると安心した。

 一体、チョコレートを食べているとどうして安心するのかについて、考えてみた。でも、答えは出そうもない。

 とにかく、チョコレートを食べていると僕は安心するようだった。

 僕は、笹森のおじさんのところに遊びに行くことにした。

 笹森のおじさんは、琴を弾いていた。琴はとてもサイズが大きくて、初めて見たときはびっくりした。

 笹森のおじさんは、琴を上手に弾いていた。

 僕は黙ってその琴の音を聞いていた。

 桜の花びらが散った気がしたけど、しかし、今は春ではないし、気のせいかもしれない。

 僕にはたまに桜の花びらの幻覚が見えることがあった。それがなぜなのかはとんとわからなかった。

 そのことを、何とか小説にできないものかといろいろと考えてみた時期もあったけど、それもむずかしかった。

 どうやら、僕には小説を書く才能というものが点でないようだった。

 それに対し、笹森のおじさんは、非常に上手に小説を書いた。一度、原稿を見せてもらって、とても面白かったのを覚えている。

 僕は、自分が何か、虚構の中にいるのではないかと考えた。いつも、現実感はなかった。自分は、原稿用紙に書かれた物語なのではないか、とよく思っていた。子供のころなどは、自分の足場がバラバラになって崩れていくような気がして、そういう感覚が恐かった。

 ――僕は小説なのかもしれない。

 そう考えると、おそろしかった。僕には、僕を描いた、「著者」がいるのだ。一体、その著者はどんな顔をして、どんなことを考えているのだろう? そう思うと、なぜか、ものすごい恐怖におそわれる。

 ――僕はフィクションなのだ。

 笹森のおじさんは言った。

「そこで立ってないで、こっちに座りなさいな」

 僕は笹森のおじさんが出してくれた座布団に座った。

「また、悩み事かい?」

 とおじさんは言う。

 僕は頷いた。

「何をやってもうまくいかなくて」

 と僕は言った。

 おじさんは笑った。

「そんな時もあるだろうね」

「何か、ひとつくらい才能が欲しかったです」

 と僕は笑った。

「どんな才能が欲しいんだい?」

「小説書く才能とか。何でもいいんですけど」

「才能は、努力しているうちに、見つかるものかもしれないよ」

「でも、僕は逃げてばかりだから」

「じゃあ、逃げなければいいじゃないか」

「そう単純にもいかないんです。それができれば、苦労はしないんです」

「恐いのかい?」

 僕はおじさんのその言葉に頷いた。「恐いです」

「不安はあるかい?」

「あります。いつも。それでいつも眠いんです。僕には現実なんてないんです。本当の自分もいないんです。本当に何もないんです。からっぽなんです」

「からっぽ?」

「うん。からっぽ。何にもないんです」

 おじさんはあごひげをさすった。「しかし、からっぽなんてことがあるのかねえ? 人間ならば、だれだって、何かしら中身が詰まってそうなもんだけど」

「でも、いいんです。からっぽでも。僕はそれを受け入れたんです。もう何も信じないんです。そう決めたんです」

「人は何かしら信じて生きていることが多いと思うけどなあ」

「だとしても、僕は、なにを信じていいのかサッパリわからないんです。何も信じられないんです」

「何かを信じたら、不安が取れるかもしれんよ?」

「信じるって、すごく難しいです」

「もう少し、自分を信じてあげてもいいんじゃないかな?」

「自分って何なんですか? 僕にはそれがないんだと思うんです」

「かもしれない。もしかしたら。でも、存外、そうでもないかもしれないよ」

「どういうことですか?」

 僕は座布団の上でもぞもぞと足を動かした。正座した足がしびれていた。僕は正座が苦手だ。そして、だまって座っている忍耐もない。

「自分っていうのは、存外どこにでもころがっているものかもしれないね。今日、帰るときにでもひょっこり見つかるかもしれないよ」

 そう言って、おじさんは、緑茶を入れてくれた。

 僕は緑茶を飲むと、おじさんの琴をしばらく聞いて、それから、帰宅した。

 帰宅する途中、友達の徹に会った。

 徹は、弓道館からの帰りのようだった。大きな弓と矢筒を持っていた。

「おお、悟(僕の名前)じゃん」

 と徹は言った。

「久しぶり」

 と僕は言った。

「どうした、浮かない顔して」

 と徹は言った。

「別に」

「別にってこたあないだろう? 何があったか話してみな?」

「特に何もないよ。ただ、いつも通り、自分に嫌気がさしてただけ」

「そりゃ、いつも通りだな」

 と言って、徹は笑った。

「悪かったな」

 僕は顔が熱くなるのを感じた。徹に笑われると、無性に恥ずかしかった。それが何でなのかは分からなかった。

「そんなに自己嫌悪してて疲れないか?」

「プライド高いせいかもしれない」

「お前、プライド高いかな? どうなんだろう?」

「じゃあ、プライド低いのかな?」

「いや、低いってわけでもないと思うけど。まあ、普通じゃないかな? 俺たちくらいの年だったら、自己嫌悪くらいあるものなのかもしれないし。思春期だし」

 僕は、妙に、「思春期」という言葉がおかしくて笑った。

 ――シシュンキ。

 不思議な言葉だった。

「思春期ってどんな時期だと思う?」

 と僕は聞いてみた。

「思春期は、性別に適応する時期とかかな? 分からんけど」

「自分の性別もわからなくなることあるんだ。何も信じられなくて」

「性別が?」

「そう、性別が」

 徹は不思議そうな顔をして、空を見た。夕空が広がっていた。

「それじゃあ、もしかしたら、お前の性別が変わるんじゃないか?」

 と徹は言った。

「性別が変わる?」

「いや、俺にもよくわからないけど。例えば、お前が男だとするだろ? すると、女になる。お前が女だとするだろ? すると、男になる」

 徹の言っていることは、何となくわかるような気もしたし、分からないと言えば、無限に分からないような気もした。

「徹には、僕がどう見える?」

「とんとわからないな。その決断は、俺が下すべきじゃないよ。あんまり責任が重すぎる。その責任を負えるとすれば、お前自身くらいのものじゃないかな?」

「僕が、決断する?」

「そうだ」

 と言って、徹は頷いた。

 僕は自分が決断できるかどうかについて考えてみた。

 仮に自分を男だとしてみた。どうもしっくりこなかった。

 仮に自分を女だとして見た。やっぱりしっくりこなかった。

 自分を中性だとして見た。どうしてもしっくりこなかった。

 もしかしたら、僕には性別というものが、そもそもないのではないかという気さえして、なんだか、めまいがしてきた。

「大丈夫か?」

 と言って、徹は心配そうにこちらを見ていた。

「大丈夫」

 と僕は言って、徹に別れを告げると、ふたたび帰路についた。

 性別。性別。性別。

 ふと、もしも、自分の性別を自分で決定することができたなら、自分は変われるんじゃないかという気がした。

 ――でも性別を決めるってどういうことなのだろう?

 性別は自然から与えられるものなのではないのだろうか? それを自分で決めることができるのだろうか?

 とにかく、僕の場合は、性別というものが、ひとつのじゅうようなキーであるような気がした。そこには何かある。そう思った。

 僕は、家につくと、庭で、祖父が教えてくれた剣舞をしてみた。

 さらさらと剣は空気の中を流れていくようだった。とてもいい気分だった。まるで、自分が空気の粒子になってしまったみたいだった。

 微分

 どうやら、剣舞をしている時の自分は、まったく微分されて、どこにも自分というものがないようだった。

 それが心地よかった。それが、本来の自分であるような気がした。

 ――そうだ。

 ――僕はからっぽなのだ。

 本来の僕とは、とどのつまり、虚空のことだった。からっぽ。空瓶。何も入っちゃいない。

 それがいいことなのか、悪いことなのかすらわからない。

 ただ、からっぽなのだ。

 僕は剣舞を終えると、卵焼きを巻いた。卵焼きは思ったよりも上手に焼けたようで、とてもうれしかった。

 ――うれしい?

 自分の感情が他人の感情のような気がした。どうして、僕はうれしいのだろう? なんで、卵焼きを焼いただけで、うれしいという感情が出てくるのだろう?

 いい加減、考えることが面倒くさくなってきた。何でも考えればいいってものでもないだろう。そうも思ってみた。しかし、卵焼きを焼くという行為の中にある、なにかが、僕のことを強く引きつけていることもまた感じていた。

 ――僕は卵焼きをまくことが好きなのだろうか?

 ――違う……そうじゃない。

 では、一体、どんな理由があるんだろう? 何がうれしいのだろう? 僕は何がうれしいのだろう?

 ――もしかしたら、僕は、自分が想定している以上の物事に強く引かれているのかもしれない。想定外の出来事。

 玄関でチャイムが鳴って、僕はびくっとした。ビビった。いきなりチャイムが鳴るのは身体に悪い。

 僕は玄関まで行くと、扉を開けた。

 そこには徹が立っていた。

「元気してたか?」

 と徹は言った。

「どうしたの?」

 と僕は言った。

「いや、心配だったから来てみた。でも……大丈夫そうなら、帰るけど」

「せっかく来たなら、夕飯食べてったら?」

 と僕は言った。

「じゃあ、そうする」

 と言って、徹はにこりと笑った。

 僕はまたしても、顔が熱くなるのを感じた。

 ――もしかして、自分は徹のことが好きなのだろうか? 

 と、そう思ったくらいだった。しかし、僕には、自分が一体何を感じているのかがよくわからなかった。便宜上、「自分」とは言っているものの、本当にそこに、自分の思いというものが根付いているのかどうか、まるっきり自信が持てなかった。

 徹はすごく女の子にモテる。

 僕の目から見ても、徹は魅力的なのだと思うので(おそらく)、そのようなことが起こることに違和感はなかった。

 しかし、徹は、なぜか、どの女の子ともつきあおうとしなかった。一度はつきあったのだが、それ以降、何度告白されても、断り続けていた。

 僕には、自分のことさえ満足に分からないのに、徹のことがわかるわけもなかった。

 ――徹には徹の事情があるのだろう。

 と、そう思う事しかできなかった。それに、なぜか、恐くて、徹本人に尋ねることができなかった。

 ――恐い?

 ――恐いって? 何が?

 自問自答する。それでも答えは出なかった。

「お前。無駄に料理うまいよな」

 と徹は言って、笑った。

「そりゃ、どうも」

 と言って、僕は笑った。

 それから、徹はしばらく黙っていた。

 徹が黙っているのは珍しかった。いつもは、ぺちゃくちゃしゃべっている。

 僕は、思わず、徹の顔をじっと見てしまった。

 端正な顔立ちだった。いつもどおり。顔が熱くなった。思えば、これもいつもどおり。

「大丈夫だよ!」

 と徹は言った。非常に勢いのあるアクセントというか、発音だった。

 ダイジョウブダヨ!!!!

 徹は続けて言う。僕はその間、ぽかんとしている。

「性別がどうとか、俺にはよくわかんねーけど、まあいんじゃね? 別にいいと思うよ。俺は。何も信じられないなら、それでもいいじゃんか。とりあえず元気にしてろよ。それが一番なんじゃねーかな。わかんねーけど。」

 結局のところ、徹も、「わかんねー」らしい。いろいろなことが。なんだかそれがおかしくて、僕は笑った。

「確かに、僕にも何も『わかんねー』」(笑)

 と僕は言った。

 でも、もしかしたら、徹には僕には到底分かりえないものがわかっているのかもしれないとも思った。それはきっと何か、秘密めいているもので、僕にどうこうできる類のものでもないのだろうとも思った。

 無性に徹の秘密が知りたい気もしたが、それが何でなのかはわからなかった。僕には、何もわかんねー。

 それもそんなには悪くないのかもしれないと、そうも思った。納得はできないけれど、どこかで折り合いを付けなければ、僕は死んでしまうのかもしれない。折り合いをつけることができるかどうかは、分からないけれど。

 

 

 

 

 P.S.今日は長いですね(笑) 直観術は、「比喩」ですので、比喩としてお楽しみくださいませ。とは言え、もちろん、お好きに鑑賞なさって結構ですので、ご自由にどうぞ。

フリースクールとか女性的なものとか。

 みなさん、お久しぶりです。

 

 今日も簡単に気になったことについて書きます。

 

 ある方といろいろお話していて、「地方分権してそれでどうする?」みたいなことをもやもやと考えました。

 

 ふーむ。

 

 たしかに、言われてみれば、これはこれで、ひとつの大きな問題ですよね。地方分権して、それでどうするのか。

 

 どんな理念があり得るのでしょうね。ここには。

 

 まず、統制権の分散によって、指揮系統のリスクヘッジをする、ということは言えるんでしょうけど、そのほかにはどんなメリットがあるか。

 

 難しいです。

 

 まあ、多分、多様性は増すんじゃないでしょうかね。権力が分散されると。すると、社会に生きる人たちの、選択肢が増えるかもしれません。

 

 選択の幅が広がりすぎるのも問題だ、という指摘もありますが。

 

 現状をどう評価するかによって、色々な立場があるのでしょうね。

 

 自治体の教育の幅が現状で、満足とみるか不満足とみるか、とか。

 

 不満足なら、もっといろいろな教育が必要になるのでしょうし、満足なら、現状維持になるのでしょうか。

 

 あるいは、満足している人と、不満足な人の意見のどちらを優先するべきか、という問題もありますよね。どちらも大事ですけど、どちらも両立させるのは難しいこともあるかもしれません。

 

 やっぱり、これは、国主導でなんかやろうとするのよりも、各々が自分でフリースクールを作ってしまうほうが早いのだろうか(笑)

 

 国主導で地方分権とかって、なんだか、うーん、と首をひねるところもありますし。できれば、地方主導で地方分権ができればいいのでしょうか。

 

 どうしよう。僕もフリースクール創るか?(笑)

 

 なんとも悩ましい問題です。

 

 永遠に女性的なるもの、という概念について。

 

 女性的なるものって一体何なのでしょうね。むずかしいですな(笑)

 一体、何をもって、女性らしさとするのか。

 昨今は、ジェンダーフリーなどもありますし、そう言ったことが、さらにこうした問題をむずかしくしているようにも思われます。

 「おしとやか」とか「優しさ」とか「柔らかさ」とか、そういうイメージもあるかもしれません。しかし、そんなイメージなどことごとく粉砕してしまう女性もいるかもしれません。

 あるいは、「女性的」と「女性」はちがうものなのかもしれません。すると、女性的ではない女性もいることになるのでしょうか。

 そして、この概念にさらに、「永遠」というのがつくわけですよね。一体、これは何なんだ?(笑)

 永遠に女性的なるもの。謎です。