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「魔法使いになりたい」、という欲望について真剣に考えてみました。

精神科の支援者について――当事者の視点から――

今日は、精神障害の当事者から見た精神科の支援者の方々についての感想を書いてみようと思います。

 

まず、当たり前ですが、一口に支援者と言っても本当に色々な方がいらっしゃいます。もちろん、とても立派な方もいらっしゃいますし、中には性格の悪いサイコパス的な方もいらっしゃいます。これは福祉職でもそうで、もっと言えば、福祉職以外のどの社会においてもそうでしょう。どんな場所にも本当に色々な人達がいて、共存して暮らしているわけですね。多様性という原理はそういうものですから。

 

僕の経験からすると、数ある精神科スタッフの方々の中では、最も立派なのは心理職の方だと思います。まず、一番優しいです。これは第一の徳と言ってもいいもので、「仁」などと呼ばれることもありますね。人を優しく慮る能力をそう呼ぶこともあります。

 

精神科医はムラが多いというか、比率としては優しい人とドライな人は五分五分な印象があります。優しい人は優しいのですが、根底にある気質的な傾向としてはドライであると思います。精神医学自体がけっこうドライな学問ですから、それに単純に服従すると、あの感じになるのかな、と僕などは思ったりしていました。多分、時間がなく、忙しそうに見えることが多いので、そういう余裕のなさも関係しているのかもしれません。

 

ただ、サリヴァン的なアプローチと言うか、例えば僕などは統合失調症なのですが、それでもバカにしたり先入観を持つことなく、僕という人間それ自体を見ようと必死に努力してくれる精神科医の方も中にはいらっしゃいます。かと思えば、ある種の被検体を見るような態度で接する方もいらっしゃいます。どちらが気持ちいいかは明白で、やはり実験動物的に見られるのはあまり心地の良いものではありませんね。できれば、優しい方に診てもらいたいものです。

 

以上のように精神科医にも様々な方がいらっしゃいますので、一概には言えないのですが、ただ、全体的な比率と言うか、傾向としては、心理職の方が人間味のある暖かい対応をしてくださることが多いと思います。精神科医の多くは、薬物中心主義的な思想ではありますので、どうしても患者をモルモット的に見がちなところは多少あるのかもしれません。

 

あと、援助職は一般的に不思議とそのような傾向があるように思うのですが、基本的に女性の方が共感性の能力に優れているように思います。男性でもそういう人もいますが、総体としては数が少ない。一般に対人能力については男性よりも女性の方が高い印象です。したがって、対人援助職は総体の傾向としては女性スタッフの方が適性が高いような気はしないでもないです。おそらく、女性の方が攻撃性が潜在性のものに留まりやすく、その分、対人面が穏やかな気風を帯びるためではないかと思います。男性の場合には、攻撃的な気質が比較的容易に表面化しやすいように思います。おそらくはテストステロンなどの男性ホルモンの関与があるのかもしれませんが、専門的な知見については専門家に譲ることにしましょう。ここでは所感と言うか、僕が実際に観察した事実を記述するに留めます。

 

また、精神科スタッフもやはり普通の人間ではありますので、苛立っている時もあります。そのような時には、彼らの評価基準がぶれやすいです。具体的なエピソードに言及すると、個人情報保護の観点から上手くないので、総体的な事実を概括的に記述することしかできませんが、僕から見ても分かるくらいに偏見的なエピソードが観察されることもけっこうあります。人間であれば、偏見の一つや二つくらいあるのが普通ですから、まあそれはそれで許容するべきなのかもしれませんが、結果的に患者さんを怒らせてしまったりとかしている人もいるので、そうした明らかにマズいケースについてはしっかり修正していくのがいいのではないかと思います。

 

心理職系の方は先述のように非常に立派な方が多く、概ね該当しないのですが、福祉職系の方にはサディスティックな傾向がちらほらする人もいます。人の学歴を揶揄しているかと思えば、次の瞬間には自慢を始めたり、あるいは自身のコントロールから逸脱した状況に対してアレルギーのように過剰に反応する過敏な気質的な傾向が観察される場合もあります。ただ、これはおそらく遺伝的にサディスティックな人が福祉職に集まっているということではなくて、後天的な環境による抑圧が原因であるように思います。福祉的な援助の場には上意下達的と言うか、パターナリスティックな傾向はしばしば観察されますので、患者の自己決定権を損なってでも、その処遇をコントロールしたいという欲求が見える場合もあります。若い援助職の方ほどそうした傾向が少ないですので、そうした抑圧的な環境が長い年月をかけて、徐々に精神科スタッフの人格をスポイルしているのではないか……というふうに思われます。

 

精神科の看護職の方については、心理職の方に近い傾向性があるように思います。総体的にはかなり立派であると言えると思いますが、多少仮面様の顔貌を呈している方などもおられ、おそらく極度の感情労働の累積によるバーンアウトの徴候であるように見受けられます。これは単に忙しすぎるのだろうな、という印象を当事者としては感じます。

 

いずれの領域にもとても立派な方は分布していると思います。ただ、全体的なそれぞれの集団における傾向性を簡単に記述すると以上のような感じになると思います。どんな集団にも本当に色々な人がおり、何ごとも一概には言えず、とても難しいのですが、多少無理矢理に単純化して示せば、一当事者の感想としては以上のような感じになります。

 

結論としては、「精神科スタッフもただの人間」という当たり前の事実が重要だと思います。多くの人は嫉妬的な側面や、時に苛立ってしまったり、仕事とはいえ、患者に攻撃性をむき出しにしてしまったりするところも含めて、ただの人間だな、という印象です。精神科の支援者も支援を受ける患者もどちらも同じ人間ですね。時に苛立つこともありますし、長い間スポイルされれば何らかの問題を来してもおかしくはありません。その意味で、見出そうと思えば、いくらでも精神科スタッフの抱える精神病理を描出することは可能ですが、そうした「病理」というものは実のところ「人間味」なのであり、ことさらに排除するには及ばないと思います。それは患者の場合もそうですね。本当は「精神障害」だなんて存在しないんだと思います。みんな同じ人間。その点について卑屈になる必要もないし、傲慢になる必要もない。

 

人は「社会的動物」であるとしばしば言われます。できることも適性も人によって色々です。適材適所でみんなで力を合わせて頑張っていけたらいいですね。それは支援者にしても被支援者にしても同じことです。万能な人なんていないんですから。

 

今日は以上です。